Laika

マイ・マザーのLaikaのネタバレレビュー・内容・結末

マイ・マザー(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

思春期の男の子が母親を見る時ってこんな感じなのかなと思った。母親が下品にケーキを食べる冒頭のシーンは、こちらも目を背けたくなるほど醜い。ものを食べている時の口の動きは、人と食べ方によってはセクシーにも見えるが、このシーンは気持ち悪かった。
ユペールの持つこんな母親への嫌悪が、女性に対する魅力を感じなくさせているのではないか。どちらが先かはわからないけど、彼が同性愛に目覚めるのと、母親への強い嫌悪感と反発は同一線上にあるように思う。ユペールの苛立ちは、同性愛だということを母親にオープンにできない自分への苛立ちもあるのではないか。
怒鳴り合う二人のヒリヒリした関係性は「わかって欲しい」という心からの叫びのようだ。ユペールの言動が尖ったナイフのように鋭く母親を突き刺すが、母親は防御からかのらりくらりとこれに反応する。ここで母親が、「養育している」という上からの目線ではなく、人として対等に本気で向き合ったら、ユペールの信頼を得ることができたのではないか。ユペールの意思と関係なく学校を変えてしまうとか、母親が自分勝手に子供を操ろうとし、ユペールが反発したくなって当然だと思う。
でも、最後のシーンが良かった。何も言わない最後のシーンで、この映画の全てが救われた。この親子は一つ階段を進んだと思う。
グザビエ監督19歳の作品ということに驚かされる。所々に映されるケベックの風景が綺麗だった。
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