このレビューはネタバレを含みます
やっぱりグザビェ・ドラン良かった。
17歳のユベールの心理状態が、痛いほど伝わってきた。母親が鬱陶しくてウザくて何もかもが嫌いで勘にさわる……指図でもされようものならはらわたが煮えくりかえるくらいムカつく……けれど、心の奥底では母のことが好きだ、子供の時と同じように。矛盾した想いを抱えながら苦しむユベール……しかしついに母を殺す時がやって来る。ウェディングドレスを着た母が息子の手を振りほどくシーンがあまりにも象徴的だった。
とは言え、殺される母の方もとても辛そうだった。本当は別の面も良い面もあるはずだけど、今回はあくまでもユベール目線から憎悪の対象である母として描かれていた。……ずっと張りつめた緊張感があったけど、ラストはああもうお互い疲れちゃったねって感じ。少しホッとした。
これがドランの原点。センスあふれる映像美と音楽も素晴らしく、これ以後の作品はさらに洗練されたものになっていくと思うと感慨深い。