わたがし

ミーン・ストリートのわたがしのレビュー・感想・評価

ミーン・ストリート(1973年製作の映画)
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 つまらなかったけど観て良かった。これと『グッドフェローズ』と『カジノ』で確かに何かが繋がった気がする。筋らしい筋はほとんどないけど、キャラクターがずっと喋ってずっと動いて、ずっと音楽が流れている。せかせかしているけど何かを省略したり過剰にスタイリッシュにしているわけではなく、そういう緊張感。映画館で観たらまた変わるのかな
『グッドフェローズ』とか『カジノ』みたいなカメラワークを自分もしてみたいな、でもレールも敷けないしクレーンもないからな、みたいなことを最近ずっと思ってたけど、これを観るとしっかり貧乏臭い手持ちで『グッドフェローズ』とか『カジノ』みたいなカメラワークをしていて少し反省した。
 スコセッシとかゼメキスとか、そういう誰かの形式とかスタイルをそのまま実践するのも重要だけど、ゴールはいかにスコセッシとかゼメキスぐらい独自の視点を映画文法に落とせるかだよなとしみじみ思った。スコはこの頃から自分の人生や故郷への眼差しを「映画文法」に置き換えて描いている。どれぐらいの細さの筆を使い、何色と何色の絵の具を混ぜたらどれぐらいの発色になるか、そういうのが全部カメラとライトと編集作法として置換されている。だから多少録音が終わってようが手持ちだろうが照明が大雑把だろうが映画として美しい。スコは偉大。
 ずっとヘラヘラしているデニーロはやっぱり観てるだけで楽しい。この頃のスコとデニーロが現場でどういう演出のやりとりをしていたのかがすごく気になる。
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