わたがし

ダーケストアワー 消滅のわたがしのレビュー・感想・評価

ダーケストアワー 消滅(2011年製作の映画)
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 3Dブルーレイで観た。レンタル落ち3Dブルーレイを100円で買えなかったら一生観なかったであろう映画。こういう出逢いはサブスクでは得られませんね
 予算3000万ドルなのにちゃんと3Dカメラ使ってステレオ撮影してる偉い3D映画だけど、安牌視差で立体感がしょうもない。それで所々ステレオ撮影失敗したっぽいショットだけぬるっと2Dになったりヤバいほど雑なコンバートで3Dにしたり。正真正銘「2010年代初頭の3D映画」で観ていて懐かしい気持ちになった。
 撮影も編集もほぼ2D脳だけど、メインイベントの「人が電磁波喰らって空中で灰になる」描写で、ちゃんとステレオレンダリングされたであろうCGの灰が美麗な立体感でしつこく飛び出してくるのが楽しい。見えない電磁波が迫るサスペンスで街灯が点いたりバスのワイパーが勝手に動くとかも3D抜きで面白い。演出でもっと面白くなったんだろうなと思いつつ、引き延ばさずにちゃんと90分ちょいで終わるのは素晴らしい。
 ステレオ撮影された風景にCGで電磁波やら火炎やらを足してる画が多いけど、立体レイヤーがずれているショットが多すぎて、危機的なスペクタクルのリアリティが全部死んでる。こういうのもきっと2Dで観ると違和感はないはずで、これぞ「2Dで観たほうが良い映画」という感じ。
 でも、こういう映画こそちゃんと3Dで観て判断し、楽しみたい。3Dが作り手の意図を雄弁に語るときもあれば、その逆もある。何でもかんでも3D企画ならゴーサインが出ていたこの時期の3D映画なら特にそう。そういう企画の縺れとか、新しいツールへの慣れ不慣れとか、客の需要とスタジオ幹部のビジョンの不一致とか、全部味わってこその「ハリウッド映画」の豊かさだと思う。
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