わたがし

死霊のはらわたのわたがしのレビュー・感想・評価

死霊のはらわた(1981年製作の映画)
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 高校の時に観て衝撃を受けて、毎晩観ていた時期がある。ワンショットワンショットが破壊的にかっこよく、自分の映画でもたくさん真似した。その割には何年も観返しておらず、めちゃめちゃ久しぶりにブルーレイで観返した。
 やっぱり画がかっこよすぎてニコニコしてしまう。「かっこいいっしょ?」的な洒落臭さがなく、ただただ映画愛だけが炸裂している。特に長回しの緊張感がすごく、なけなしの予算で買った16ミリフィルムを1ミリたりとも無駄にしたくないという気迫に満ちている。
 キャラ作りもストーリーも20代前半感はあるけど、人間の距離感とか、死霊が迫る理屈とか、そういうのを全てちゃんと画だけで説明している(いかにも台詞で説明してそうなトーンなのに)のがやっぱり他の低予算ジャンル映画と違うところ。橋がないくだりで「橋がない!」みたいな台詞で終わらせず、ちゃんと壊れた橋を作る。そういうところにこの映画の魅力が詰まっている。
 音響の盛り具合が現代の感覚で観てもやりすぎですごい笑った。死霊がひたすら叫び続け、地下扉がガタガタ鳴り、カメラが動くと「カメラが動く音」が鳴る。映画監督として、このサービス精神に育てられた感がある。
 死霊が怖くなく、なぜなら得体の知れない存在ではなくただただひたすらに「嫌がらせをし続けてくるすごい性格の悪い人」でしかないから。得体は全然知れる。だからシチュエーション込みでコメディに感じてくる。そしてだんだん人間不信の映画に見えてくる。
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