樽の中のディオゲネス

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンの樽の中のディオゲネスのレビュー・感想・評価

3.0
 2週間の勉強で司法試験に合格するほどの頭脳、微笑めばモテモテな容姿に加えて、FBIに共感されるほど良くできた人柄、極めつけには、両親の離婚と諸々の不手際により犯罪に染まってしまい、「足を洗いたい」と思い続ける哀れな経験と人徳――この映画は、これらを兼ね備えた実在の人物を、その張本人によって書かれた自叙伝を土台にして、描いている作品である。自分を演じるのがレオ様だと知りながら、その監修を受け入れる彼の精神力には、アッパレ。作品内で語られているように、彼は極めてロマンチストなのであり、今なおそうであり続けるのだろう。常人には為せない業か。
 トム・ハンクスのコメディ要素があったからまだしも、真面目な自伝映画になっていたら、怨嗟の声が飛び交っていたことだろう。それにしても、豪華なスタッフに豪華な演者たちである。これも、F・アバグネイルの妙技か。