地下からきました

パーフェクトブルーの地下からきましたのネタバレレビュー・内容・結末

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

被写体としてレ○プされる主人公の苦悩と成長(自己の確立)を描いた話。
サイコスリラーとしても最高の作品。

それぞれの登場人物が『同じミマの偶像』の暴走に翻弄されるが、本人含めそれぞれが『違うミマの偶像』を追いかけている。

偶像ミマがミマに追いかけられているとき、ふと階段の降り際に不適な笑みを浮かべるシーンや、カメラマン村野の指示で上着を脱いだ瞬間のミマの髪だけが揺れるシーンなど、何度も観たくなる魅力的な瞬間が多い。

いやいや!それだけではない!!
血のように染まった真っ赤な絨毯音割れラジカセ!
受話器ごと串刺し!
軽やかな幻想ぶち割りガラス!
ライヴでサビと同時に現れ、ファンを昇天させてまうアイドルミマ!ミンナァ!アリガトーォッ!

クセになるシーンが多すぎる!構図が巧すぎるのよ!
プロジェクターに写ったミマ越しにアイドルミマがアイスピックで突き刺す構図などよく思い付いたなと鳥肌である。

随所に平沢リスペクト小ネタが散りばめられているのもニヤリとする。

フラッシュがトリガーになっているなどの伏線の数々や、今ミマが見ているのが夢か現実かドラマなのかが考察できるようになっていたり、
何度観ても鳥肌になるよう作られている。

物議を醸すであろう描写は観るたびに不快になるものの、しっかりこの作品のスパイスとして働いていて個人的にこれらも好き。容赦はない。

「私は本物だよ」
最後は完全にメタな訳だが
作り物の二次元であるミマが観客に向かって放つこのセリフは「本物」とは何かを考えてしまうきっかけになる。

女優としての地位を確立し、自己を統一できたミマ
それを観ている私たちは「周りの評価」で自己を形作るも、自分の理想とのギャップにより悩み苦しんでいる。
どちらが本物なのか?
あなた誰なの?

恋はドキドキするけど♪
 愛がLOVE LOVE するなら♪