西村大樹

太平洋の翼の西村大樹のレビュー・感想・評価

太平洋の翼(1963年製作の映画)
4.0
この手の映画を戦争賛美映画なるレッテルを貼る人がいる。そのような人々は、観てから言っているのであろうか?
隊長は上層部による特攻作戦に反対をする。そして、制空権を奪い返す作戦を繰り返し進言し集められた者たちの物語である。
それだけならば、まだ戦争賛美の映画と言われても仕方が無かろう。しかし、台詞の端々に日本が負けることを予想しながらも上官の命令と家族を含めた日本を守るしかない隊員たちの気持ちが表現され、戦争という物への憎しみが画面からにじみ出ている。これは、監督を始め戦争経験者が残っていたことが大きく影響しているであろう。
そして特筆すべきは円谷英二による特撮である。特にオープニングの空中戦など、どのように撮影をしたのか全く分からないほどに素晴らしい。そして円谷英二もまた、戦争経験者である。
本作は、太平洋に太平が続くよう願う作品なのである。
西村大樹

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