消費者

ラスト・エクソシズムの消費者のレビュー・感想・評価

ラスト・エクソシズム(2010年製作の映画)
3.9
・ジャンル
モキュメンタリーホラー/POV/オカルト/エクソシズム/ドラマ

・あらすじ
ルイジアナ州バトンルージュで活動し、地元住民達が全幅の信頼を寄せる牧師コットン・マーカス
しかし信仰の英才教育を行なった父も彼自身も実際の所は説教や悪魔祓いをビジネスとして考える現実主義者だった
神も悪魔も信じないコットンはこれまで悪魔憑きの“思い込み”から救済する助けとなればと思い悪魔祓いを続けてきた
それは耳に障害を追う息子の医療費の為でもあった
だが過去に発生した少年の死亡事故を知って以来、これ以上犠牲者を増やしたくないと願う様になり、悪魔祓いを詐欺と示そうと監督アイリス達と共にドキュメンタリーの撮影を開始する
そうして依頼人スウィーツァー家の元へと向かう
過去と同じ様に怪奇現象を仕込み、悪魔憑きとされる少女ネルに儀式を施すコットン
それは一見成功したかに見えたのだが…

・感想
POV/ファウンドフッテージ/モキュメンタリー強化月間DAY-13
13日目という事で悪魔絡みの作品を観ようと思い鑑賞
続編も存在するらしいけど話にあまり繋がりはなくモキュメンタリーやPOVでもない上に配信も見当たらなかったので一旦1作目のみ観る事に

元より心霊やヒトコワ/サイコホラー、スラッシャー/ゴア、サスペンスホラー等の方が好きでエクソシズム物は大味な作品が多い事もあり正直そこまで期待せずに観た
結果としては想像以上に面白い作品!
牧師コットンの語る悪魔祓いの捉え方は先日鑑賞した「ヴァチカンのエクソシスト」のガブリエーレ神父と類似
異なる点としては彼が牧師でありながら無神論者であるという事でしばらくはあくまで精神疾患等を疑い続けネルを救おうと奮闘する
それが終盤に至るまで貫かれるので彼が正しかったというオチか?と思いきやラスト5分程で怒涛のどんでん返し!
しかもそれが上手く伏線を回収し様々な事を察させる巧い物で良かった

ここからはネタバレ込みの考察
恐らくネルは実際に悪魔憑きではなかったが母を失った悲しみを利用し悪魔を産む器として利用された
彼女の兄、ケイレブもまた母の死から神を憎む様になったと言及されていた事から序盤に地元住民が語っていた教団に取り込まれ彼こそが悪魔憑きとなりネルと近親相姦をする事で受胎させたのだと思う
またネルは父の意向でホームスクールで学んでいる上に社会から隔離されていたので十分に常識も備わっておらずそこに漬け込んで教団に裏でグルーミングされてしまい妊娠の罪悪感から解離性同一性障害を患ったんじゃないだろうか
とはいえこの悲劇を生んだのは紛れもなく兄妹の父ルイスが毒親だったせいでもある
そしてルイスについても何故コットンを呼んだのか?という点では本当に娘を心配しての事でもあっただろうが同時に妻の死を引き金とした代理ミュンヒハウゼン症候群の疑いも持てる

こう読み解いていくと悲劇になかなかの複雑さがあって楽しめた
地域社会や家庭、信仰の闇を上手く絡み合わせた秀作だったと思う
悪魔の姿を鮮明にに見せては欲しかったけど…

にしてもネルの暴走時のポージングが軟体過ぎて笑ってしまった…w
荒川静香の様に体を反らしたかと思ったら開脚までして同時にコットンを挑発するとか離れ業過ぎるでしょw
消費者

消費者