Kazumi

フィラデルフィアのKazumiのレビュー・感想・評価

フィラデルフィア(1993年製作の映画)
4.0
ひかえめの音楽に情熱ある物語。
静かなのに燃えるようだった。
この映画は性の多様性について理解がなければ、不愉快で退屈なものになる。けれども公開当時にきちんと評価を受けているし、その寛容さを思って嬉しくなる。
HIVも治る可能性が示されている。今年3月、イギリスの患者が寛解状態に至ったニュースは衝撃だった。もっと早く治療法が見つかっていれば、フレディ・マーキュリーも生きていたかも、なんてしょうもない事を考える。

レビ記も、よくもまあ何千年も人を縛り付けてくれるものだと思う。
同性愛者に対する異性愛者の偏見も、同性愛者のステレオタイプも、ゴリゴリ。知ろうとせず、恐れる。マイノリティに味方する人間もマイノリティであるとは限らない。

あなたも公の場で女好きか男好きかなんて言わないでしょう。
あなたも異性なら誰でもいいわけじゃないでしょう。
あなたも決めつけられたら腹が立つでしょう。
叫びたくなる場面がいくつもある。

一度の過ちで、台無しにしてしまったアンディの後悔が滲んで辛い。

ミラーが感染を恐れて医者に駆け込んだのは遠い過去のよう。
触れる優しいエンディング。

性的指向と性的志向の字はどちらかに統一してほしい。厳密には違うっていう人いるのかな。最近は指向の方がよく見る。
訳者・宮坂真央。
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