ボブおじさん

ギルバート・グレイプのボブおじさんのレビュー・感想・評価

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)
4.2
この映画を観るとレオナルド・ディカプリオという俳優が、単なるアイドルでもイケメンでも、ましてや「タイタニック」で売れた俳優でもないことが良くわかる。

上映時19歳だったディカプリオは、ハンディキャップを抱えた弟アーニーを演じて、この年のアカデミー助演男優賞にノミネートされた。

この映画の後も「クイック&デッド」「バスケットボール・ダイアリーズ」「太陽と月に背いて」「マイ・ルーム」で存在感を示し、バズ・ラーマンの「ロミオ&ジュリエット」で完全に同年代の若手スターから頭一つ抜け出した。

「タイタニック」での大ブレイク(この表現も的外れだが)は、本作も含めたこれらの作品により積み上げられてきた〝信頼と実績〟の上に成り立っている。

本作の監督は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」で注目を集めたスウェーデン出身のヒューマンドラマの名手ラッセ・ハルストレム。

ジョニー・デップ演じる主人公のギルバート・グレイプが田舎町の呪縛や、自分が果たすべき家族内での役割から、なんとか逃れたいと思う感情をベースにした家族の物語だ。

今では すっかり大物俳優となったジョニー・デップやジュリエット・ルイスの若々しい姿が見られるのも嬉しい😊


リバイバル上映にて再鑑賞。



〈余談ですが〉
◆演劇や映画の世界ではハンディキャップ物というジャンルがあり、その世代の中でも優れた演技力がある者だけに、その役は与えられるという。

架空の人物を演じる通常の役と違い、ハンディキャッパーの役は、その特徴を誰もが知るだけに、一切のごまかしが効かない。下手であればすぐにバレてしまうのだ😅

他の役者がどんなに頑張っても、そこにリアリティがないと作品そのものを壊してしまうだけに、演じる役者は厳選される。

国内外問わず過去にヘレンケラーを演じた女優を調べていただければ納得するだろう。まさに選ばれた者にしか演じさせてくれないのだ。

他にも自閉症を演じたダスティン・ホフマンの「レインマン」は有名だが、「マイ・レフトフット」のダニエル・デイ・ルイス、「愛は静けさの中に」で聾唖を演じたマリー・マトリン(彼女は実際の聾唖者だが)、「英国王のスピーチ」のコリン・ファレルはいずれもオスカー像を手にしている。

「レナードの朝」で、当初は医者を演じるはずだったロバート・デ・ニーロがロビン・ウィリアムスからエコノモ脳炎患者の役を奪ったのも有名な話だ。役者にとってハンディキャッパーは一度は挑戦したい役なのだろう。

◆リヴァー・フェニックスが生きていればディカプリオが演じた役のいくつかは、フェニックスが演じていたかもしれないが、この作品に関しては、彼で正解だったと思う。

リヴァー・フェニックスの「ロミオ&ジュリエット」や「ディパーテッド」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は見てみたいが、「ギルバート・グレイプ」は、絶対にディカプリオだ😊