ぬーたん

ドライビング Miss デイジーのぬーたんのレビュー・感想・評価

ドライビング Miss デイジー(1989年製作の映画)
4.3
久し振りに観たけど、やっぱりいいなぁ~。
30年近く前の作品。
舞台は1948年のアメリカ南部。
ということで、まだ人種差別が色濃く残っていた時代と場所。
主役はユダヤ系の白人のお婆さん、デイジー。
ジェシカ・タンディが演じる。
ヒッチコック『鳥』では目つきの怖いお母さんだったが、25年後も、怖くて頑固なお婆さんの役ですよ。
若い頃からやや老けて見えたが、今作は80歳を超えて年は相応だが、元気でシャキッとしてます。
デイジーの専属運転手は黒人の初老、ホーク。
モーガン・フリーマンが演じた。
もうこの頃から老けている、髪も白いし。
黒人は年が分かりにくいが、モーガンの実年齢はまだ52歳だった。
デイジーは乗車を頑なに拒否するが、ホークは遂に上手いこと車に乗せてしまう。陽気で真面目な運転手にいつしか友情すら感じるようになる。
それからは何処に行くのも乗るようになり、2人の関係は変わっていく。
デイジーの息子ブーリーをダン・エイクロイド。
ゴーストバスターズ!
ガリガリの息子はブヨブヨ。
しかも年の差が親子と言うより孫に近そう。
お母さんに手を焼いているものの、深い愛情を感じているのが分かり、とても微笑ましい。いい息子だなあ。
ブリーの奥さん役は鼻が特徴的なパティ・ルポーン。

2人が旅をするシーンでは警察に職務質問され、まだ根強く残る人種差別の片鱗をうかがわせる。それは、黒人のみならずユダヤ人も差別の対象であることが分かるシーンだ。
墓のシーンはグッと来た。
ホークの私生活は殆ど出て来ない。
老婆と運転手と金持ちの息子の3人の会話が殆どだ。
余計な情報もなく、変化もなく淡々と進んで行く。
ちょっとした会話や、行動や、表情だけで、心に沁みて来る。
素晴らしい演技と、スッキリした脚本。
差別を感じつつ、プライドを持って生きている清々しさを感じ、じんわりと感動する。
イケメンも美女も出て来ないし、景色もつまらないし、ラブシーンも殴り合いもないし、刺激物は殆どない。
こんな作品は最近お目にかかれなくなったかもね。
同じく、頑固婆さんの姉妹が主役の『八月の鯨』を思い出す。
頑固でも自分らしい老婆になりたいな。
ラストまで、あったかい作品。
また観たくなるだろうなあ。
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