登場人物みんなが「大人」になった瞬間を一つずつ覗いていく内、どうしてか涙が溢れてしょうがなかった。
何でこんなに泣いてるのか分からなかった。
当然だった。
自分が「大人」になった瞬間の一つ一つを、今はまだ思い出せないのだから。
自分が「大人」になったときの出来事を忘れたままに、気持ちだけが呼び起こされて、泣いていたのかもしれない。
いつか、この映画の『大人たち』が胸の綻びを顧みるように、自分も「大人」になった瞬間の出来事を思い出せるようになったら、そのときの自分はどんな風に映るのだろう。
忘れていないはずの自分を、いつか思い出せるようになる為に、今日を精一杯生きて、思い切り人生に疲れよう。
ラストで「大人」になった主人公のたくましさに負けないように。