基礎知識を多分に必要とするタイプの作品はこれくらい潔い方が良い。
『シン・ゴジラ』の様にメインキャラを何らかのメタファーに変換する事が出来るならまた話は変わるけど、仮面ライダーにそれを（どの層にも分かる範囲で）負わせるのは複雑すぎるし、ある程度突き放す構成にするのが正解な気がする。
こちらも「知らないものを楽しむ自由」を謳歌する気満々で劇場へ向かったので、ド頭から一見さんお断りな掛け合いの応酬にニヤリとしたし、ライトな範囲で楽しめた。
無論、往年のファンにとってどれほど質が担保されていたのかは知る由もない。
とりあえず仮面ライダーが何らかのヒーロー的存在である事さえ認知していれば、終盤の展開にはノれる。自分はノれた。
森山未来さんをキャスティング出来た時点で勝ち確定な展開も、なかなかズルい。
魅せ場のアクションに移行する際の人物の動作が省かれすぎていて各シーンが少し浮いた印象もあったが、監督のカッティング美学（と間延びの予防）を徹底した結果なのだろう。
個人的には今回、所謂『戦隊モノ』で予算の限界を感じる瞬間というのは、セットの質感や火薬の数と同じくらい、群衆の映り込む数からも滲んでくるのだなと気付くきっかけの作品にもなった。
細部まで人を描くって、やっぱりどんな作品でも大切。
もちろん作中の世界観に依る部分もあるけど、この作品ならもう少し描写しても問題ない様に思う。
