ずっと観たかった映画をやっと鑑賞。
脚を骨折し恋人にも去られ自暴自棄になったスタントマンのロイが、自殺目的で薬を盗ませるために、少女アレクサンドリアを惹きつけようと語り始めた空想物語。
1910年代、無声映画の時代が舞台。
映画の冒頭とラストに流れるモノクロ映画、そして本編の現実パートの色褪せた雰囲気、空想物語パートの色鮮やかさの対比が何とも印象的。
石岡瑛子が手掛けた衣装も鮮やかかつ斬新。ビジュアルが美しすぎる。
そして数々の世界遺産で撮影したロケーションは圧倒的。映像美としか言いようがない。
ロイとアレクサンドリアの交流が空想物語と重なっていく演出で、アレクサンドリアがどれだけ物語とロイに惹きつけられているかがわかる。
空想物語に描かれる「愛と復讐」の行方に観ているこちらもハラハラしてしまう。
物語、創作、そして触れ合う相手によって、時に傷つき、時には救われる心と自身の存在。
観終わった後の余韻が凄い。これは繰り返し観たい芸術作品。