和桜

サルバドル/遥かなる日々の和桜のレビュー・感想・評価

サルバドル/遥かなる日々(1986年製作の映画)
3.7
これぞ社会派ドラマ。
当時のエルサルバドル内戦の残虐さ不条理さ、それを支援するアメリカを見事に描いている。

アフリカやボスニア紛争を描いた作品は多い中で、中南米・ラテンアメリカでの恐怖政治や内戦、支援国の姿をカストロ抜きで映した映画は多くない。
ラテンアメリカでは共産主義弾圧の目的で、各国から権力者の側に武器や支援が集まり、かなり一方的な弾圧、不均衡な紛争が行われていた。
かといって、両者が生きるために過剰な暴力を行っていたことは事実であるが。

だからこそ知ってほしい真実のお話。
ラストのシーンは、権力に翻弄される人間の姿そのもの。
強い怒りすら沸いてくる終わり方。


写真家の「真実をつかむには近づくことだ。近すぎると死ぬ」という言葉。
アメリカ大使の「右翼は残酷、左翼は冷酷、中道はヤワ」というボヤキは、問題の複雑さを端的に示している。
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