和桜

灰とダイヤモンドの和桜のレビュー・感想・評価

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)
3.7
ワイダ監督による「抵抗三部作」の最終章。ドイツ占領下のポーランドを描いた前二作に対して、最後に描かれるのは戦後のポーランド。
ナチスの侵略からソ連の支配へ。いつまでも終わらない争いの中で、恋に落ちた青年は人並みの生活に憧れを持つ。更に誤った対象を殺してしまった事実を知り、掲げてきた大義すらも疑い始める。

光を求め抵抗を続け、時にその光に焼き殺された仲間たち。主人公はそんな光を恐れるように、サングラス越しでしか世界を見ることが出来ない。
三作品の中でもより精神的な葛藤に焦点が当てられており、最終章で今までの全てが無意味だったのかと懐疑的になる虚しさ。この一作でも完結してるけど、三部作を通して見るとラストシーンの表情がより鮮明に映るはず。

戦後の東欧は束の間の停戦を繰り返す現代紛争の先駆けでもあって、この三部作は今も再生され続けている現実でもある。
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