古琴を抱えた老人が行き倒れ、少年に助けられる。
老人はお礼に少年に古琴を教える。
やがて、時は流れ、少年が見事に古琴を弾きこなすようになる。
水墨画アニメの傑作。
原題は『山水情』。
旅の途中、病に倒れた琴の奏者と、彼を看病する少年との交流を、素晴らしい琴の調べとともにつづる。
中国もパクりアニメばっかり作らないで、こういうのにもっと力を入れればいいのに。
第1回上海国際アニメーションフェスティバルでグランプリをとったこの作品は、悠々とした時間の流れに身を任せて、見るというよりは、眺めるように鑑賞できる美しいアニメーションです。
短編で台詞は一切なく、中国琴の音色だけで表現していて、水墨画のタッチと相まって実に美しく叙情豊かに描かれていて、ちょっと感動しました。
画面はどれも掛軸の水彩画の一部が動画になって動き出したかの構図です。
白い無地の上に筆のタッチそのまま、描かれた絵の中で同質の筆のタッチのキャラクターが動き出しています。
川の水は描いていないのに、水の流れを感じさせるところなど、まさに水墨画の余白の美を生かした表現法の極致。
また、画面上に流れる古琴のゆったりした音も、作品の格調を高めるのに一役買っている。
構図と動きと音楽のマッチングの極上さは、本当に一見の価値アリです。
でも以前観た、『鹿鈴』のが面白いかな。