ナイトクラブで給仕をしているデカチンの少年が、ベテランのポルノ映画監督から資質を見いだされたことにより、一躍スターダムに伸し上がる。1977年から1983年までのアメリカ・ポルノ業界を舞台にして、関係者たちの栄枯盛衰を綴っている群像劇。
2時間半の大長編だが、内容はとても簡単。デカチンを利用して女を歓ばせることを唯一のアイデンティティにしている男が、ポルノ男優として大成功を収めるのだが、膨張していく自己顕示欲が足枷となり、人生が暗転してしまうという物語。
主人公に限らず、世間の爪弾きにあっている者たちが「自分がいるべき場所はココだけ」と言わんばかりに、監督の元に結集する展開が熱い。また、あらゆる場面で長回し撮影が使用されており、空撮から屋内へと入っていくカットに驚かされる。
終局に近づくと、「ポルノ関係者だから」という理由だけで、登場人物たちが虐げられていくシークエンスに発展。都合の悪いことが都合良く起こるため、まんまと乗せられている感覚を受けるが、奮起を促していくラストシーンが印象に残る。