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フリーキー・フライデーのRenのレビュー・感想・評価

フリーキー・フライデー(1976年製作の映画)
3.0
「体入れ替わりもの」というジャンルを切り拓いたと言える記念碑的作品。家族で観られるライトなコメディなので、暇なときに鑑賞するのが吉です。

「目も当てられない」という形容が良く似合うコメディを久々に観ました。“ドタバタ“ とはまさにこのこと。
近年の入れ替わりものであれば、もっとお互いの悩みや自分と向き合うメッセージ、乃至は入れ替わりそのものをトリックとして使うひねりの効いたジャンル映画として成立させそうなものだけど、今作はそんなツイストも大層な思想も特に無し。入れ替わりギャグの乱れ打ちで笑わせようとする気概が、単純明快ホームドラマとしてはgood。

それだけに、今作がそこまで大衆に観られていないことにも合点がいってしまう。ちょっとコアな映画ファンの間でなら必修科目的な扱いを受けているのかもしれませんが、映画がそのジャンルの始祖として歴史に残るには、「新規性」の他に「お話自体の面白さ」が不可欠なのだと実感しました。“大人と子どもがスイッチしたらどうなる大喜利“ の連打に終始してしまうのが、少し物足りない理由。ストロングポイントでもありウィークポイントでもある。

かと思えば、ラスト15分で余計に困惑。それまではちゃんと設定で笑わせてくれていたのに、終盤は『トムとジェリー』的な無茶苦茶アクションで笑わせてくる。派手ならなんでもいいのか。笑
最初は中身が入れ替わったのに、戻るときは外見が入れ替わるルールも良く分からず。

この時代ならではのクソダサ演出(スイッチ時の演出は絶品)と粗いグリーンバック合成に笑ってください。OPのアニメーションは『ミクロキッズ』よろしく可愛い。

最近の『ザ・スイッチ』(原題:Freaky)は今作のオマージュ。というか『ザ・スイッチ』経由で今作のことを知りました。他にも『鍵泥棒のメソッド』や『君の名は。』といった作品にピンときたら、それらの始祖である本作も一応観ておいて損は無いと思います。
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