【1987年キネマ旬報日本映画ベストテン　第10位】
梶間俊一監督が金子正次の遺作を映画化した作品。ブルーリボン賞主演男優賞（陣内孝則）など国内の主演男優賞を席巻、キネマ旬報ベストテンでも第10位に選出された。

現時点ではDVD化されておらずWOWOWでしか観られない。WOWOWにきたってことは近々ソフト化されるのかな？

あこぎな商売で生計を立てるヤクザの運命を描いた作品。事務所も持てずベンツもローンが払えず手放す始末。でも妹の面倒をよくみており、ある女との幸せを掴もうとする。そんな末端構成員の男を陣内孝則がよく演じていた。

よくあるといえばよくある映画だが、なかなかよく出来ていた。女との出会い、部下の裏切りなどヤクザ映画にありがちな筋書きではあるが、千秋という男をチャーミングに描いた良作に仕上がっている。

終わり方、珍しいハッピーエンド？と思いきや不穏な展開。やっぱりヤクザもんは幸せになれないんだなぁ…

梶間監督の過不足のない流麗な語り口、チャーミングなキャラクターが楽しい。コミカルさとシリアスさを上手く混ぜ合わせた演出がなかなかよかった。しっかり飽きずに観ることが出来る良作ヤクザ映画。

• #キネ旬日本ベストテン1987

まさかwowowにあるとは思わなかった！
名画座くらいしかチャンスは無いと思ったが！
このために加入しちまったよwowow!
金子正次ものは、ちょうちんを残しただけだったが、竜二はトップとして次点チンピラ、ケツが獅子王、真ん中が本作の体感。

千秋、カッコつけてるのにやることなすこのカッコつかない！これがいい！
常にギャップを意識してる作りの本作、もっと広まってもいいと思う傑作！

ヤクザと家族とか、狐狼の血が忘れている、ヤクザも人間という視点、ダサい真似もすりゃウンコもシッコもする

北野武登場前夜の北野武的作品

若くして急逝した金子正次の短編小説を映画化した作品。『竜二』と同じくヤクザから足を洗う男の物語。

全体のトーンとしては暗めで緊迫感の強いハードボイルドな雰囲気ではあるが、そのなかに緩和の要素となるハズしのギャグとも取れる描写があり、それに北野映画風味を感じることができる。銀行のシーンからの車道チャリ走や原田芳雄のレントゲンなどはまさにそのコメディ要素たる場面だった。

陣内孝則がそのイメージとは違いクールなキャラクターの千秋を熱演。落ち着いたトーンとそのうちに秘める熱き心を使い分けていて新境地を見せる。ほかにも、こちらは舎弟のキャラクターが板についている渡辺正行の芸人キャスティングもまた北野映画のような似た感じを持った。

梶間俊一のスタイリッシュなストーリー演出や、『フィッシングウィズジョン』でお馴染みジョン・ルーリーの弟であるエヴァン・ルーリーの音楽をはじめとして、スタッフとキャストの熱意が功を奏して見応えのあるヤクザ物に仕上がっている。

• #プレ的2025年鑑賞