みかぽん

ラスト、コーションのみかぽんのレビュー・感想・評価

ラスト、コーション(2007年製作の映画)
4.0
監督は『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー。舞台は各国の諜報員が凌ぎを削っていた魔都、上海。(もしタイムワープが出来るなら、私はこの時代の上海を垣間見たいと願っている)

ん~、この映画の感想を一言で述べますと(最初に言っちゃいますが、かなり偏った感想です)ワン・リーホン演じるクァンが腰抜けで一番悪い!!ってことでしょうか😩。

前半の舞台は、第二次世界大戦で日本に占領された香港(後半は上海)。
クァン(ワン・リーホン)は演劇仲間の学友に抗日運動を煽り、それほど乗り気じゃなかった女子大生のワン・チアチー(タン・ウェイ)も誘い入れた(僕は決して無理強いはしない、とクァンは言ったが、ワンはクァンのことが好きだったので、当然、首を横には振れなかった)。

彼女(ワン)は金持ちの若奥様、マイ夫人に扮し、ターゲットである日本の傀儡政権の特務機関員、イー(トニー・レオン)の奥方の麻雀仲間として潜入に成功。加えてイーの気を引くことにも大成功。出だしはとても順調。
しかしこのまま(男性経験ゼロ)では策略がばれるのでは?の不安から、〝その日〟に備え、唯一経験済みの演劇仲間(しかも仲間内で一番キモチ悪い男…うげぇ~;)と事前練習(??)を行う状況に😱😱(注:ギャグではありません💦)。

こうした決定をした時も、彼女は半泣きな気持ちでクァンを一瞥するけど、こいつときたら俯いたままタバコをふかすばかりで隅っこの方で縮こまったままなのだ(この時も、僕は無理強いはしない路線で彼女に決断させるヘタレっぷり)。

こうして不本意ではあれ、心身ともに万全の体制(?というのか?)となった彼女は敵の本陣に入るべくイーの誘いを待つのだが、肝心のイーは突然の栄転で香港を去ってしまったうえに工作までばれそうになり、クァンと仲間の男子学生たちは口封じのために知人の男を殺害。これに衝撃を受けたワンはその場から逃げ出し、事実上この学生組織は解体…というのが前半の顛末。

3年後、再びクァンの説得で(今度は学生のスパイごっこではなく、裏政府の後ろ盾があった)再び組織に加わったワン・チアチーは、イーの奥方との接触に成功。まんまと友人関係をとりつけて、そのままイーの愛人になる。
こうした関係の中、イーとワン・チアチーはお互いに向かう方向が間逆であっても、命の危機と背中合わせと孤独な立ち位置は同じくあって、そこから唯一切り離される濃密な二人だけの関係に没頭する中、ワン・チアチーは正体のない情をイーに感じ、制御不能な思いにどんどん侵食されていくわけ。

で、そんな彼女の心向きを察したのか、あるいは嫉妬なのか、クァンは持ち前の(?)理性をかなぐり捨てて彼女を抱きしめキスなんぞしちまうわけだが、ワン・チアチーは「どうして3年前にしてくれなかったの⁈」と珍しく感情を表にしてクァンを振り切り、走り去る(気の毒極まりない…😭)。

ネタバレするのでこれ以上は申しませんが、 本当に好きならワン・チアチーを巻き込むな!僕が守るだなんて安易に言うな!しかも中途半端に感情を持ち込んで彼女を更に悲しませんなーーっっ😓😓😓!!
ってことで、このナルシストな正義感&青二才(?死語?)っぷりが非常にムカつき、こんな男に翻弄されて人生を変えてしまった彼女が気の毒でならないワタシなのでした😂😂😂。

にしても、クァンの優柔不断っぷりや、イーの土壇場の滑稽なまでの慌てっぷり(生きるためにはスライディングまで披露?…唖然)の対極にある、この主人公の潔さったらない。
女って優しいし(愚かという人もいるかも)同時に凄いなぁ、、と唸りました。。
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