みどな

レッド・ドラゴンのみどなのネタバレレビュー・内容・結末

レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

サスペンス。
「ハンニバル・レクター」シリーズ3作品目。

クラリス・スターリングに出会う直掩までを描く。

オーケストラ演奏者失踪事件をはじめとする事件を担当していた
FBI捜査官グレアム(エドワート・ノートン)。
犯罪精神医学の権威で、FBIに協力もしていたレクター博士(アンソニー・ホプキンス)だったが、彼が真犯人だった。
逮捕後、「人喰いハンニバル」として世間に覚えられた彼だが、
逮捕後もグレアムに協力をしながら、殺害を目論むレクター博士。

「咬みつき魔」として11人も殺害をしたダラハイド(レイフ・ファインズ)。
ダラハイドは幼少期の祖母からの虐待、自身の醜さ、愛への執着などから「自分じゃない何者」かに憧れ、「変身」したい願望がある。
祖母からの虐待は彼女の死後もダラハイドを苦しめ、幻覚を見るほど。
死ぬ直前まで祖母の呪縛から抜け出せていない。

変身したい「何者」かというのが、画家ウィリアム・ブレイク作「巨大なレッド・ドラゴンと日をまとう女」の「ドラゴン」。
そのための「儀式」として、絵を殺人で表現している。
また、この絵は力の誇示をしたがるナルシズムと狂気を表現していると考えられるそう。

彼が儀式の「生贄」として選んでいるのは
全て自分とは逆の「愛に溢れた家庭を持つ女性」。
それを自社のホームビデオで見て、選んでいる。

リーバ(エミリー・ワトソン)は「盲目」。
リーバが感じる「ダラハイド像」がダラハイド自身に安らぎを与えるため、
心から愛せたのでは?
しかしダラハイドの心は祖母に囚われている。
また、ひっそりと文通を交わしていたレクター博士にもそのこと(祖母の呪縛)を見抜かれ、「彼女を悪魔から守るために殺さねば」と「洗脳」されてしまったのだろう。

今作も猟奇的なシーンは見られるが、
どちらかというとレクター博士とグレアムの頭脳合戦である。
「咬みつき魔」を捉えるグレアム、
「咬みつき魔」を利用してグレアム殺害を目論むレクター博士、
ドラゴンに成る邪魔をされ、利用されたダラハイド。

また、1作目「羊たちの沈黙」へのオマージュも多々見られる。
クラリスとレクター博士の「友愛」のような
グレアムとレクター博士の「歪な友情」を感じたからこそ
FBIに協力をしたのだろう。
しかしお互い腹の底では一切の信用はない。
ただ、「理解」しているだけ。
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