レクターが精神科医というよりただのプレデターと化した前作「ハンニバル」から軌道修正を図った作品。
脚本を「羊たちの沈黙」のテッド・タリーに戻しつつ、監督を「ラッシュアワー」のブレット・ラトナーが担当したことにより、グロ薄めでアクション、サスペンスがバランスよく配置された作品になった印象を受けた。
クラリスのいないレクター博士シリーズはありなのかと思いきや、そこはさすがエドワード・ノートン。正義感と恐怖に葛藤するグレアム捜査官はキャラも魅力的で全編しっかり引っ張ってくれた。
他方で、悪の主役も最高。自己嫌悪に苛まれる自分を超越することを目標にして殺人を重ねる孤独なダラハイドはレクターと異なる鬱屈した怖さがあったし、これを演じたレイフ・ファインズの陰鬱な暗さがたまらない。
割と最後まで緊迫感あるし、余裕で前作越え。「羊たちの沈黙」へと繋がるラストも興奮。