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ゴジラ対ヘドラのMASHのレビュー・感想・評価

ゴジラ対ヘドラ(1971年製作の映画)
3.5
何気にゴジラ映画をちゃんと観たのは初めてかもしれない。何故初めてのゴジラ映画でこれをチョイスしたかは自分でもよく分からないが、子供の頃に観ていたら確実にトラウマになっていただろう。この時代のゴジラってなんとなく子供向けのイメージがあったが、明らかに子供向けじゃない。かといって大人向けでもないという所が興味深い。好き嫌いは大きく分かれるとは思うが、一回観たら忘れられないことは確かだろう。

この作品は当時大きな社会問題となっていた公害問題をテーマとしている。ゴジラ自体も水爆が原因で生まれた怪獣なので、公害から生まれたヘドラと対決させるというのは非常に面白いアイデアだとは思う。にしても、まぁ挑戦的な内容だ。謎のアニメを挟んだり、人の死に方がやたらとグロかったり、ドラッグでぶっ飛んだような映像。そしてあの「水銀 コバルト カドミウム〜♪」の歌詞が有名な主題歌。ゴジラ映画という領域を超えている。一言で言うなら"アバンギャルド"といったところだろうか。

ただ正直言うとかなり退屈なシーンも多い。ヘドラの生態について少年と父親が話すシーンなどは退屈だし、いざ怪獣のシーンになっても見合っている時間が無駄に長いように感じる。特に後半からの垂れ具合は半端じゃない。一つ一つのシーンが無駄にスローで長くなっていくのだ。途中で予算がなくなってしまったらしいのでしょうがない部分ではあるが、退屈なものは退屈である。また役者の演技は酷いものだ。特に子役の棒読みに至っては腹立たしいを超えて笑ってしまう。

そういう部分も含めてこの作品はカルト映画の領域なのだが、それが非常に面白いのだ。低予算であったにもかかわらず、その中で最大限に伝えたいことを衝撃的な映像とともに詰め込んだ製作陣の熱は感じられる(空回りしている感は否めないが…)。アバンギャルドな映像と環境問題への警鐘、そして怪獣王がブレンドされた唯一無二の作品だ。
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