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ビッグ・トレイルのチェックメイトのレビュー・感想・評価

ビッグ・トレイル(1930年製作の映画)
4.0
「ウォルシュを観て死ね!」特集。
本作で監督ウォルシュが芸名ジョン・ウェインを与えたというジョン・ウェインのデビュー作。若くて美青年!
いわゆるマッチョなアメリカ西部男の典型のようなジョン・ウェイン像がまだ形成されていない時期であり新鮮だ。
当時興行的に失敗したとされるがこれは価値ある大作だ。観て良かった。
西部劇だがいわゆるステレオタイプのアクション西部劇ではなく白人開拓団の西部への3500キロに渡る幌馬車行を描いた物語。
ジョン・ウェイン演じるブレクは親友の仇を捜しつつインディアンと通じる案内人として困難を乗り越え開拓団をリードする。
インディアンとの共存と闘争。
ロケによる歴史の再現を70mmワイド画面で表現する。フィルムの状態は必ずしも良くないが画面の幅を生かし無数のエキストラが砂漠、暴風、急流の渡河、崖からの降下など壮大な自然とそれに対峙して克服する人間達を描いて迫力満点。困難にめげず必ずしもうまくいかずに幌馬車が派手にぶっ壊れるなど命がけの道程やCGない時代の迫力ある実写映像に目を見張る。
大した事件は起こらないしストーリー的には退屈と見る向きもあるかもだが、難行苦行の中にも当時の開拓生活をつぶさに見せて飽きない。
「カリフォルニアという住みよいところがあるらしいからそこへ行く」というセリフが出てくる。
色々と面白い描写もある。ジョン・ウェインはウェスタンブーツも履かずの姿でゆえに拍車もないスニーカーのようにも見える靴で馬を駆る。不思議だ。まだウェスタンブーツが一般的でなかったのか。
とにかくジョン・ウェインぽくない(堂々とした役ではあるが)ジョン・ウェインと開拓団の難行苦行が画面を圧倒するスケール感が素晴らしい監督ウォルシュの力作。
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