チェックメイト

ハズバンズのチェックメイトのレビュー・感想・評価

ハズバンズ(1970年製作の映画)
3.0
知ってはいたが初めて見た。
ジョン・カサヴェテスレトロスペクティブ。

ボーイズクラブ的な関係で仲間を失った喪失感からヤケになるおバカな男たち。
即興的な瞬間を捉え男特有の居丈高かつマンスプレイニングかつ幼稚な男を侮蔑的に活写することには成功しているが、今の時代なら表現できないシーンの数々に嫌悪感を感じる。

この時代だからという言い訳は成り立つが無批判にホモソーシャルな背景をベースにやりたい放題演じる男たちが女性のみならず他人への無節操な態度、果ては仲間同士でも見苦しいほどに感情的になる。

彼らが(いや現在でも誰でもだが)家庭での問題を抱えハリーの夫婦仲が深刻なことが描かれ、無論それらの家庭内不満も彼らの溜まった内なる爆弾として外へ放出される。
それは典型と言えるのか、いや単なる社会性のないサルのようにしか見えないさまが単純過ぎてそれが繰り返されるのが冗長でもある。
カサヴェテス演じるガスも程度の差こそあれブレーキの効かないサルでありそのサルを内なる人間としてどうとらえているのか。そこがない。
ラブ・ストリームスで感じられた複雑な感情の機敏も幅も実感できず薄い。
見方は人それぞれだがここには露悪的人間性が強調され無批判に表現されている。
どうにもカサヴェテス観が下がってしまった。
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