ぼぶ

ギャング・オブ・ニューヨークのぼぶのレビュー・感想・評価

3.6
ラストもラスト、誰も映らなくなってからエンドロールの歌までが一番心を揺さぶられた。

正直スコセッシ×ディカプリオにしては、少し物足りない。
ディカプリオの演技はもちろん素晴らしくて、キャメロンはいつも通りかわいいのだけど、ダニエル・デイ=ルイスの迫真の好演には全然届かない感じ。
ストーリーの重厚さのせいか、ベテラン有利だったのだろうか。

1840年代のまだ人種の坩堝、近代都市、にはなりきれていない頃のNYがリアルに描かれていていて、貧富や人種や政治…そしてギャンという存在までもがまだ発展途上で、生活のすぐそばにある頃の話というのは、新鮮だった。
また、カットの切り替えが早かったり、主人公の目にカメラがなったりと独特の手腕も楽しめた。

最後の戦いを前にした時にわかるのだが、デイ=ルイスもディカプリオも金持ちも、結局すがるのは神であり、でもそのすがり方にもそれぞれの色が出ていたところに、心が動いた。

人って変わらないんだなと。

太平洋戦争後の日本も、これぐらいグシャッとしていたのだろうか。
そして同じように祖国を色んな形で愛し、誇りの中に死んだ人も多いのかもしれない。

豚肉が少し食べにくくなる(人によっては食べたくなるかも)一作。
ぼぶ

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