ぼぶ

フルメタル・ジャケットのぼぶのレビュー・感想・評価

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
3.9
戦争はみな狂ってるし、狂っていく、というのを、狂ってる人を描くのが上手い狂ってる(褒めてる)人が撮ったらこうなる、という良いお手本。
いかにもキューブリックらしく、クソみたいな言葉遣いや、暴力、不条理、そして徐々に狂う人々、なんなら観ている人の感覚も狂っていく様な感じ。あとすごく皮肉が効いてる。

前半は訓練パート、後半が戦地パートという感じだが、どちらもさらに前後半ある感じ。狂う前と狂う後的な。

微笑デブの徐々に壊れていく演技は素晴らしくて、最後のフル…メタル…ジャケット…の、狂気っぷりはこの作品の一つのピークに間違いない。

あとは戦地パートの狙撃兵のくだりや、ミッキーマウスマーチ、などグッとえぐられる部分もあるし、戦争モノとしての戦闘のヒリヒリ感もしっかりあって楽しめる。

みんながみんな、クソみたいな会話をして、皮肉めいてる感じは、本当にこの頃の様子を表しているのだろう。
石灰まみれの20人の死体の前で、人間の二面性…という語りかけたそれこそ、キューブリックの伝えたかったことなのだろうか。

だいたい相場は10ドルなんだとわかる一作。
ぼぶ

ぼぶ