KSat

審判のKSatのレビュー・感想・評価

審判(1963年製作の映画)
4.0
カフカの原作をオーソン・ウェルズが映画化、という時点で期待値はかなり上がるが、想像以上に悪い夢を見ているようだった。

いきなり逮捕されるわ、出てくる女はみんな不気味なくらい誘惑してくるわ、弁護士はずっと病気で寝込んでてイマイチ役に立たないわ、そもそも弁護士がオーソン・ウェルズだわ、裁判のやり方が意味わからんわ、と、理不尽の極みのオンパレード。意味がわかんない。

天井が異様に低い主人公の部屋、アホみたいに広すぎる体育館みたいなオフィス、人がひしめくように大勢いて天井高すぎる法廷、書類棚が延々と続く裁判所の廊下、いつまでも続く階段のてっぺんにある格子だらけのアトリエになぜかそこと繋がっている地下道と、出てくる室内がみんな怖い。とんでもなく怖い。

これだけ書いても全くネタバレにならないくらい見た目のインパクトが凄い部屋ばっか出てくるし、どれも屋上なんだか地下なんだか、どこと隣り合ってるのか、頭おかしい構造してる。

強いていうならピラネージの絵やエッシャーの絵みたいだが、この映画において人の要素はデカい。人の動きないし静止が存在するから、ちゃんと映画の部屋になっている。

多分、テリー・ギリアムはこの映画の影響かなり強く受けてると思う。
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