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ダニエル・クレイグ主演でお送りするクライム・サスペンスだ。
コンゲーム的要素もあり、面白い作品だった。
主人公は麻薬の販売を生業とする男だ。
名前はまだない。
いや、あるやろ!
先日観た「レベッカ」と同じだ。
この作品も主人公の名前が最後まで明かされないのだ。
イギリスではこういう手法が流行っているのだろうか。
しかし、主人公が名なしでは、レビューをあげる上でいささか不都合だ。
よって不本意だが、ここでは彼の名前を定吉(仮名)としておきたい。
どうか、ご了承願う。
さて、我らが定吉(仮名)だ。
彼にはビジネスの才があるようで、ある程度の成功を収めている。
近く、この商売からの足抜けを予定しているのだ。
裏社会で生きてきた定吉(仮名)だが、暴力とは無縁である。
彼はあくまでビジネスに徹しているのだ。
そんな定吉(仮名)の同業者にデュークという男がいる。
こちらは色々手荒い手段で商売をしているのだが、今回なんと、セルビア人武装組織から大量の麻薬を強奪するのである。
このセルビア人の組織が実に恐ろしいのだ。
裏社会では非常に恐れられていて、アンタッチャブルな存在なのである。
そこに触れてしまったデュークという男は、度を超えたアホだと言えるだろう。
そして、その火の粉が定吉(仮名)にも及んでくるのだ。
彼をデュークの仲間だと思い込んでいるセルビア人は、麻薬とデュークを差し出すよう定吉(仮名)に迫る。
「ちょ、デューク頼むわぁ。
何してくれてんねん。
俺、関係ないやん・・・」(意訳)
定吉(仮名)は自身の生き残りをかけて、様々な方策を巡らせるのであった。
ざっとこのような物語なのだが、なんせ枝葉が多い。
だから、一見ややこしく感じる。
だが、不思議と登場人物の顔と名前が一致しやすいので、集中して観ると物語はスッと入ってくるだろう。
安心してご鑑賞いただきたい。
定吉(仮名)役は、「007」就任前のダニエル・クレイグだ。
やはり若い。
更に若いのがトム・ハーディだ。
野性味あるひげ面が印象的な俳優さんだが、この頃はシュッとした細面で、白面の美青年っぷりである。
人に歴史あり、ですね。
ラストシーンは3パターン撮ったそうだ。
“甘口”、“中辛”、“辛口”の3種類で、最終的には“辛口”を採用している。
ソニーの意向を押し切って採用した“辛口”シーンがどのようなものか。
気になった方は是非ご確認いただきたい。
変な例えをしたらカレー(中辛)が食べたくなってきた。