みかぽん

東京裁判のみかぽんのレビュー・感想・評価

東京裁判(1983年製作の映画)
3.9
相互フォローの猫さんに教えて頂いて鑑賞(有難うございます!観ました😃)。
第二次世界大戦の総括とも言える〝東京裁判〟は、凄ーく長〜〜いドキュメンタリーだが、今回を逃すと一気集中の鑑賞はこの先ない…と思った次第💦

数多の戦争映画は部分フォーカスの物語なので、本作、大戦の全体像理解という意味でも観れて良かったし、日本側の戦犯に対し、アメリカ人弁護人が各自付いて検事とやり合うと言うのも正直、意外な驚きだった(とはいえ、判決内容は予め決まっていたようなので、茶番と言われればその通りなんだけど…)。また同盟国同士であっても落としどころが違う先の攻防がちょっとスリリングだった(→戦略的に天皇の戦争責任を反故にしたいアメリカ側と、心情的に有罪としたいニュージーランド人最高判事とのせめぎ合いとか。あとは既にソ連の立ち位置=他戦勝国と一線を画した中の緊張感とか…あの時代のホンモノたちが動く姿を暗がりからこっそり傍聴しているような面持ちで鑑賞💦)。
あと最終答弁に於けるアメリカ人弁護人の「国の行く先を一手に担わされた彼ら、今此処にいる敗戦国側責任者の心情を、せめて自分の身に置いて考えてあげられては如何か」の問いを傍聴席で聴き、天を仰いで涙を滲ませる東條英機の姿なども、これまた色んな意味で衝撃的だった。

勿論、個人の感情として東條らは最高刑で裁かれて当然であり、戦争責任者とはそういう立場にあると思うところだが(でなければ、召集され亡くなった人々と彼らの家族、原爆や空襲で亡くなった市井の人々、日本が負った多くの損失、侵略した諸外国民への蛮行に対し申し訳が立たない)。
しかし以上を踏まえた上でも、同じ戦争という罪にあって勝者が行った原爆投下や民間人へ向けた空襲は一切の罪に問われず、戦勝国が定めた〝個人〟に向けた裁判で結審されるのはどうにも気持ちの座りが悪い(←何故なら〝国への罪〟で問うと、前述が全て戦勝国アメリカへの有罪ブーメランに変換されてしまうから)。

本裁判は自国民主体が理想であったのだろうが、当時の日本は国全体が自分達の生活を賄うだけで精一杯であり、同胞主体で戦犯裁判が正しく行えたとも甚だ思えず、またその機会も与えられるはずはなかったのだが。
ついでに言うと、現行の憲法についても〝勝者に押しつけられた〟の意見は今も根強くある。が、こちらについて私には若干の異論がある。
実際のところは当初、GHQも日本人自らの作成で促し、日本人有識者による憲法問題調査委員会が発足され、GHQ側はこれに期待していた。しかし出来上がった草案は驚くべき保守さと旧態然な内容であったことから、結果としてGHQが介入し現憲法に収まったのが制作経緯と認識している(しかしこの人類の理想とも思える内容に支えられ、日本は75年の長きにわたり不戦を維持出来たのだから、個人的にはこの先も現憲法で支持したく思う😕)。

また本裁判では唯一、インドのパール判事が国際法(の事後法)に鑑みて一部結審の無効を唱え、本裁判に於ける法的根拠(勝者の報復)に一石を投じているのも印象的だった。
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