医学の発達は必ずしも善いものではないかもしれないけど、セイヤー博士がしたことは意味のあることだと思う。
長い間眠りについていたレナードや他の患者は自由になった。自分の意思を他人の意思を使ってでも伝えることができる。
"僕は起きているんだ"と
たとえ制限ある自由だとしても。
会話して、お洒落して踊って、笑うことができた時間は、それを共有できた時間は患者とその家族どちらにとっても幸せな時間だったはず。
ピアノの音色がまた良い味を出してる。
セイヤー博士演じるロビン・ウィリアムズ
レナード演じるロバート・デニーロ
このタッグ最強。2人とも表情が良い。
特にデニーロは難しい役にも関わらず、鳥肌立つほど自然だった。
実話だそうだが「アルジャーノンに花束を」の様な物語だなと思った。
何もない日常をまた明日も迎えられることが、自分の意思を伝えられることがどれだけ幸せなことか気づかせてくれる映画。
この話の面白い所は、患者の症状が良くなってからそのままハッピーエンドで終わるのではなく、薬が効かなくなって元の姿に戻っていく過程が描かれているところ。
一度自由を与えられて、それを抑えつけられることへの怒り。
薬が効かなくなり症状を止めることができないという不安。
眠りについて明日も同じでいられるという保証がないという恐怖。
現実と葛藤しながらも自分の姿を記録に残させ、周りの患者になるべく不安を与えないように行動しようとするレナードによって救われた人がどれほど居るだろうか。
それにしてもあのダンスは映画シーンの中でもTOP10に入るくらい粋だわ。
身体の痛いところに沁み渡る薬みたいな
「さぁ、始めよう」からのエンドロールへの運びがなんとも美しくて、暫くは余韻に浸ろう。