フェリーニの少年期の(おもにエロチックな)思い出を描いた喜劇。イタリアの田舎町の人々は、刹那的で享楽的でもあるが温かい。ファシズム政権下の時代にたいする皮肉もあるが、作品全体としては、フェリーニらしい人生への祝祭感にあふれている。
思い出とはつねに断片的なもの。それゆえとくに主軸となるストーリーがあるわけではない。長尺なこともあって退屈する場面もある。作品としての完成度からいえば「8 1/2」や「女の都」のほうが高いとは思う。
フェリーニらしい、演劇的で見世物小屋のような映像を楽しむ作品だといえるだろう。