フェリーニのアマルコルドのqdfgcfghfgjhkghのネタバレレビュー・内容・結末

アマルコルドは「私は覚えている」という意味らしい。少年時代の景色に対する記憶を再構築して蘇らせたような映画。
構成としては人物以外関連のないエピソードを単発で続けながら時系列を進め、再び綿毛の舞う季節で幕を閉じる。その中で少年の成長や周囲の人間を描く。
映像の節々に現れる時代や思い出に対するシンボル。例えば孔雀、ファシズム、魔女、死。これらを心理学的に分析することもおそらくできるのだろうが、それは作品の本質とは言えないだろう。
この作品は思い出をありのままに描く。ファシズム万歳の風潮とその陰、街の栄枯盛衰、巨大船の感動、叔父の叫び。ところどころのテーマはセンシティブなものであり、今の時代では特にそうなのだろうが発表当時でさえ不謹慎とかナンセンスといった言論があったはずである。しかしメッセージの中心はそこではない。精神病院の実態がどうであるとか政治のあるべき姿といったものはこの作品では相手にされない。そこにあるのは叔父という人間、ファシズムに抵抗した人間という自らの近くにいた個人に対する回想である。思い出をありのままに取り上げることによって、それらの要素の中心をテーマから外しているのだ。こうすることで取り上げにくい題材も本来の生き生きとしたイメージで取り扱うことができる。
最初にも書いたがこの映画は筋らしい筋はない。さらに一つ一つのエピソードが趣向を凝らしたプロットというのでもない。誰かがどこかで経験しているであろうような当たり前のものの連続。それを温かく、人間味豊かに作っていくことで価値というものを生み出していく。
以上の要素によって多くの映画の枠組みをはみ出した結果として、これまでにない映画への感覚を得られたように思う。