さりさり

アラバマ物語のさりさりのレビュー・感想・評価

アラバマ物語(1962年製作の映画)
4.0
舞台は1930年代、アメリカ南部のアラバマ州。
人種差別がテーマの社会派ドラマだ。

白人女性への性的暴行容疑で逮捕された黒人青年。
彼の弁護士・アティカスとその家族の物語。
ストーリーは法廷だけに留まらず、アティカスと二人の幼い子供たちとの心温まる交流も描いている。

この親子の関係がいい。
母親はすでに亡くなっているが、子供たちは父親を誰よりも尊敬し、信頼している。
父親はそんな子供たちを優しく見守りながらも、ここぞという時には愛情を込めてしっかりと諭す。
その時のさりげないスキンシップが、また泣ける。
やっぱり子供は、抱きしめてもらいたいんだよね。
親だって子供を抱きしめたい。
それが本来の姿だと思う。

裁判シーンが最大の見せ場だが、この法廷の状況は、納得いかなかった。
判決がどうこういうより、まず、被告が黒人男性なのに、陪審員は全て白人。
これってどうなの?
これで全うな判決が出る?
でも当時はこれが当たり前だったんだろうな。
現実は残酷。
「本当の正義って何?」って叫びたくなる。

悶々とさせられるシーンもあったが、とにかくこの親子の清々しさが勇気をくれる。
きっとこの子供たちは、父親の意志や信念を受け継いで行くんだろうなって、明るい未来が見えた気がした。

たった一人で裁判に立ち向かい闘ったアティカス。
彼を讃える傍聴席の黒人たちの姿が心に残る。
良作だ。

オススメしてくれた “しのちさん”、ありがとう!
思い立ってすぐに観て、本当に良かったよ。
さりさり

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