さりさり

EO イーオーのさりさりのレビュー・感想・評価

EO イーオー(2022年製作の映画)
3.2
憂いを帯びた優しい瞳。
佇んでいるだけで癒やさせれる穏やかなロバ。
どうやらロバ目線で進むお話らしい。
きっと、ほんわか温ったかいストーリーなんだろうなと思って観たら、180度違った。
のっけから真っ赤に点滅するライトが不気味で、嫌な予感が。
話が進むにつれ、やるせない思いしか湧いてこない。
何もかもが切なかった。

サーカス団で働いていたロバのEO。
ところが “動物愛護団体” からの抗議で、EOはサーカス団から追われてしまう。
そこから始まる放浪の旅。
台詞も説明もないから、ちょっとわかりづらかった。
ただ感じたのは、様々な人間たちと出会う中、彼らに翻弄されながら続けるEOの旅は、とても辛く孤独だったろうな、ということ。
EOが、優しかったサーカス団の少女のことを思い出すたびに、私も胸が痛んだ。
EOにこんな思いをさせて、“本当の動物愛護の意味って何?” と腹立たしい思いもした。

旅の結末はどうなるんだろうとハラハラしながら見守っていたが、そうか…そういうことか…。

芸術的で美しいシーンがいくつか出て来たが、EOはそのシーンの中にいつも優しく溶け込んでいた。
ダムと橋と滝壺のシーンは圧巻だった。
神々しささえ感じた。

独特な映像で印象深かったけれど、スコアは低い。
だってEOが可哀想だったんだもの。(涙)
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