たまこ

喝采のたまこのレビュー・感想・評価

喝采(1954年製作の映画)
3.7
落ち目の舞台役者フランク(Bing Crosby)は、大舞台の主役の座を射止めるも、子供を亡くして以来神経を病んだ妻ジョージー(Grace Kelly)を気遣い、出演に乗り気でない。
そんなフランクの消極的な態度にプロデューサー(William Holden)のイライラは募るばかり。
ところが、フランクの嘘に気がついて…。

『イヴの総て』同様、華々しいショービズ界の裏を描いた秀逸なヒューマンドラマ。
思えば、Grace Kellyの映画をまともに鑑賞したのは今回が初かもしれない。
かわいいだけじゃないのね、この人。
美しいが影があり芯のある女を全身全霊で演じていた。オスカー受賞も納得の好演。

でもそれより私は、クリスマスソングの父Bing Crosbyの、傷心ヘタレ親父っぷりに心打たれてしまった。歌えて踊れるだけでなく演技も超一級。
舞台では堂々としてるのに、家に帰るとすっかり自信をなくしたしょぼくれ爺さん。こういうスター、本当に沢山いるんだろうなと確信させられるほどリアル。

手のかかるやっかいな男なのに、最後はカッコいいんだ。
やっぱ男は引き際が肝心。

60年以上前に作られたとは思えないくらい、人の弱さや優しさを丁寧に描いた作品。これからも時を超えて生き続ける映画だと思う。
たまこ

たまこ