くわまんG

恋愛小説家のくわまんGのレビュー・感想・評価

恋愛小説家(1997年製作の映画)
4.0
あらすじ:その人のために、これまでの生き方を変えようとさえ思うのなら、迷わず踏み込んでみて。

偏屈な売れっ子作家メルビンの相手をしてくれるのは、馴染み飲食店でウェイトレスをしているキャロルだけ。そんな二人がひょんなことから旅行することになり…というお話。

幸せを諦めることにしていた年増男女が、幸せを素直に受容するまでの過程を楽しむラブコメで、演出はライトかつポップ。ゆえに感情移入度はやや浅めなんだけど、迫真のドラマもあり。

ハイライトは、キャロルと母とのやりとり。シンママ業に徹するため、オンナからの引退を自身に強いていたキャロルが吐露する苦悩と、その全てを汲み取った母の反応が泣ける。今は答えを出すより気晴らしが大事な状況だと把握できたのは、かつて同様の経験をしたからか。

次点で、誰も見てくれなかった自分の美点を指摘されるシーン。「なぜ誰も君の魅力に気づかないのか、私は不思議でならなかった。」はなかなかの殺し文句。

あと、グレッグ・キニアのサブプロットがメインプロットにちゃんと絡んでいたのもよかった。三者三様やっと前向きな人生を歩み出した、という結びは綺麗だった。

たくさん傷ついてきたから、これ以上自分が傷つかないために作り上げた、こだわりという名の後ろ向きな生き方を、それより大切な誰かのために捨ててゆく物語。90年代らしい“現実にありそうで無い”物語然とした演出や、可愛い犬のサポートも助けて、ほっこり癒やされた。