ほーりー

黒い画集 あるサラリーマンの証言のほーりーのレビュー・感想・評価

4.0
「どうして……どうしてこんなことに……」

授業や仕事をサボっている時に知ってる人にバッタリ会ってしまうことほど気まずいものはなく、しかも、それが自分の身を破滅させるほどの恐ろしい事態に発展したとしたら……。

小林桂樹主演の本作は、 松本清張の短編集「黒い画集」の一編を映画化した本作は、不倫相手である部下の家を訪ねたことで運命の歯車が狂ったサラリーマンが主人公。

ある夜、新大久保にある愛人宅から帰宅する途中、主人公は偶然、自宅近所に住む保険外交員と出くわす。

後日、主人公のもとへ警察が訪ねてくる。実はあの晩、向島で人妻が夫の留守中に殺されるという事件が発生しており、その容疑者として例の保険外交員が逮捕されたという。

犯行のあった時刻には、主人公が新大久保で遭遇しているから、この男が犯人でないのは明白。しかし、もしこの事実を証言すれば、自分が何故あの時刻に新大久保にいたのかが明るみに出てしまう。

やがて裁判が開かれ、外交員には死刑が求刑される中、果たして主人公は真実を語るのか、それとも……。

小林桂樹さんというと、テレ朝で放送していた2時間ドラマの牟田刑事官シリーズの印象が強いが、若い頃から優れたサスペンス映画に結構出演している。

「白と黒」「けものみち」「首」「女の中にいる他人」などあるが、その中でも代表作中の代表作といえるのは本作ではないかと思う。

オープニング・クレジットが音楽なしで、ただタイプライターの音だけ流れて、スタッフやキャストの名前が打ち出されるのが渋くてカッコいい。

後半、事件は急展開をむかえ、段々と主人公が追い詰められていく過程が見応えあった。

なお脇役ながら、若き頃の小池朝雄さん(29歳)と児玉清さん(27歳)が出演しており、特に小池朝雄のまるで野獣のような演技が印象的だった。

■映画DATA==========================
監督:堀川弘通
脚本:橋本忍
製作:三輪礼二
音楽:池野成
撮影:中井朝一
公開:1960年3月13日(日)