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南国土佐を後にしてのMASHのレビュー・感想・評価

南国土佐を後にして(1959年製作の映画)
3.5
『ギターを持った渡り鳥』のような活劇モノだと思っていたら、前科者に待ち受ける過酷な現実というなんとも物悲しい内容。短い映画にも関わらず、繰り返しの展開や唐突なクライマックスの盛り上がりは気にはなったが、小林旭のカッコよさを十分に堪能できる作品。

なんとかまともに生きようとする主人公と、前科者は許さないという世間の冷たい風、そしてかつていた賭博の世界からの誘惑。好青年でいようと努力しながらも時折鋭さが垣間見える主人公を小林旭が好演。一瞬の表情の変化に彼の役者としての実力を感じられる。

土佐の祭りや自然の風景、当時の東京のモダンな街並み。そのどちらでも受け入れられない主人公。ここまではすごく良い映画なのだが、クライマックスはなんと賭博のシーン。シンシナティ・キッドかと言わんばかりに小林旭がキメてくるのだが、その急激な方向転換には流石に戸惑う。華麗なサイコロ捌きをする小林旭はカッコいいが「今のシーン何だったんだ?」となってしまう。

中盤までは物悲しいドラマとして良いのに、そこに三角関係やらやたらとキレのある賭博シーンを入れてくるもんだから、展開がない割になんだかモリモリの映画に感じてしまった。思ったよりしんみりしてしまったからどこか最後でなんとか盛り上げようとしたのだろう。普通に楽しめる映画だが、『ギターを持った渡り鳥』の方が個人的には好きかな。
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