山本

モテキの山本のレビュー・感想・評価

モテキ(2011年製作の映画)
3.7
前半、流されっぱなしで何もしてないなコイツ、とか思いつつスマホでニトリの家具とか調べながら見てた。でも終盤、「私、幸世くんじゃ成長できない」のセリフでハッとしてiPadに釘付けになった。

趣味がエネルギッシュとか、仕事で成功してるとか、何か尊敬できる人がいい、という感情を利己的に言い換えるとそうなるんだろう。聞き馴染みのない断り文句なので新鮮だけど、気持ちはわからなくもない、と思う人は多そう。

そしてそのセリフのあと、カメラは顔を伏せる長澤まさみを写したまま、画面外の遠くから森山未來の「ありがとう」が聞こえ、扉を閉める音がする。想いに強引に蓋をするような強さで。この演出……すごかった。主人公の決別の意思を、その本人を映さないことで伝えるシーンだった。

深夜、ナタリーのオフィスに戻り、やっかみ100%で作った、長澤まさみの彼氏を揶揄する記事の下書きを消して、ちゃんとしたクオリティのものを作りなおす、というところで、やっと自分の根源の熱意で何かをなしとげるアツさが出てきてよかった。

劇団・コンプソンズの金子鈴幸さんのラジオ特番「サブカル メメント・モリ」で言及されてて、そういや見たことないなと思って見た。2023年は劇場でもサブスクでもぜんぜん映画を見てなかったので、ちょっと元に戻したい。
山本

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