終戦直後から高度経済成長を描いた5つの短編
劇画の意味を初めて知ったかもしれない
確かに従来の子供向けの絵や内容とは一線を画してる
荒いタッチで動くアニメーション
ある意味で素朴な雰囲気と独特の暗さが妙に惹きつける
地獄 / HELL
いとしのモンキー / BELOVED MONKEY
男一発 / JUST A MAN
はいってます / OCCUPIED
グッドバイ / GOOD-BYE
地獄では、原爆がもたらした地獄と、男がそこから切り取ってしまった事実と真実の葛藤が描かれている
ハッキリ言って鬱だ
いとしのモンキーでは、職工が抱く喪失感と事故が元で下した決断による悲劇
ショッキングで鬱だ
男一発では、定年間近の課長、会社に自宅にと忘れられたような日々に復讐を考えるが、時はあまりにも残酷すぎた
男性として受け止め難い鬱だ
はいってますは、打ち切りを言い渡された漫画家の諦めに、再び灯る情熱の火と屈折した想いの果てが描かれる
時として衝動は大事だけど周りは見なければいけない
袋小路の鬱だ
グッドバイは、戦後、米兵あいてにパンパンをする娘と金をせびる父親、世間の冷ややかな目と全てに裏切られた女の哀しい決別が描かれる
戦後のつらい時期、にしてもツライ
確実に鬱だ
時代の移ろいと人間の闇を描いたストーリー展開、激動の時代を劇画が紡いでいく様子に目を奪われた
なんかスゴイ
それぞれの主人公は心に傷を抱えてる
それがいかに哀しく、いかに屈辱的な事なのか
劇画とはよく言ったモノだ
戦後、手塚治虫氏が描く感動の裏で、辰巳ヨシヒロが描く戦後の哀しみと屈辱がある事を知った作品。
漫画が好きな方にはいいかもしれない
総じて鬱ではある
けど、ドン底から這い上がろう
何クソ!っと言う負けん気と気概を感じる
令和を生きる日本人にも忘れてはいけない誇りと矜恃を教えられた気がする
苦渋を味わったからこその感動がある