ひろ

ブルーバレンタインのひろのレビュー・感想・評価

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)
3.9
デレク・シアンフランセ監督・脚本によって製作された2010年のアメリカ映画

最近は大資本の映画よりサンダンス映画祭などで評判のよかった作品の方が面白かったりするが、これもそんな映画のひとつ。才能豊かな監督といま勢いのある俳優が組めば、自ずと道は開ける。最高に切なくて、印象に残る恋愛映画だ。

結婚7年目にして夫婦の危機を迎えた2人。かつてそこにあった確かな愛は、もう見当たらない。それでも娘のためにも関係を修復しようとする。でも、2人の価値観の溝は埋められない。そんな2人の結婚するまでの愛に包まれた状況と、現在を交互に映し出すから、過去の愛がより一層美しく見えて、現在が切なく感じる。

妻を愛することだけが生きがいのディーンを演じたライアン・ゴズリングと、家庭だけじゃなく自分の人生も大事にしたいシンディを演じたミシェル・ウィリアムズ。ライアン・ゴズリングは「16歳の合衆国」や「ラースと、その彼女」で注目してたし、ミシェル・ウィリアムズは「ランド・オブ・プレンティ」観た時に、調べちゃったぐらい。

2人とも7年後のシーンのために増量して、ゴズリングは頭を剃って、ミシェルはスッピン同然の役者魂。2人とも製作総指揮にも名を連ねていて、映画への取り組み方にも好感が持てる。個人的にも、2人とも同級生だから応援したくなる。これからの映画界を支える俳優だね。

過激な性描写が話題にもなったけど、ラース・フォン・トリアーがもたらしたリアルな性描写は賛否もある。でも、80年代の恋愛映画みたいな嘘くさいベッド・シーンなんかじゃ、この映画の2人の関係性は伝わらない。映画に夢を求めるかリアルを求めるかって話になっちゃうけど、この作品ではこの表現が正解だと思う。

愛の始まりと終わりを描いた映画だから、お子様の観る映画ではないけど、恋愛経験がそこそこある人なら共感できる作品なんじゃないかな。愛があれば何もいらないなんていうロマンチックな人には受け入れられないかもしれない。でも、この映画に描かれていることって、世の中にありふれた現実なのかも。
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