ひろ

思いやりのススメのひろのレビュー・感想・評価

思いやりのススメ(2016年製作の映画)
4.2
ロブ・バーネット監督・脚本で製作された2016年のアメリカ映画。Netflixオリジナル映画

息子の死をきっかけに。作家を辞めて介護士になったベン。そんな彼が初仕事で担当することになった筋ジストロフィーを患う18歳のトレヴァー。偏屈な性格なトレヴァーに苦戦するベン。トレヴァーが世界一深い洞窟に興味があると知ったベンは、彼を連れて旅に出る提案をするといった展開

心に深いトラウマを持つベン。人生に諦めを感じているトレヴァー。さらに母親を亡くし新しい世界を求める少女や出産のために実家に向かう妊婦などと旅をするロード・ムービー。口が悪い登場人物が多いのだが、不思議と心が温まる。それはそこに思いやりを感じるからだ。同情と思いやりは異なる。個人的にも車椅子で2年間過ごした少年時代にそれを感じた。同情は切なく感じるし、思いやりは素直に嬉しい。この線引きは難しいんだけど、それを察することができる人こそ思いやりのある人なのだろう

ベン役のポール・ラッド。トラウマに沈む心に目を背けながら、トレヴァーを支えようとする。トレヴァーと接することで彼自身のこころに変化が起きる。ポール・ラッドってこういう心に訴えかける演技もできるのね。トレヴァー役のクレイグ・ロバーツ。あまり知らない俳優だったけど、このトレヴァー役は素晴らしかった。トレヴァーが人間として成長していく姿が泣ける。トレヴァーが恋するドット役のセレーナ・ゴメス。ゴシップでばかり目にするセレーナ。でもちゃんと演技できるのね。この役はいい感じ

ロード・ムービーは好きだけど、この作品はとても流れがいい。旅をしながら成長していくトレヴァー。いろいろなことが起きるけど、その全てが経験値。支えるベンとトレヴァーの関係。母親以外の女性とまともに接したことがないトレヴァーが、旅で出会ったドットと少しずつ距離を詰めていく過程。後半に行くにつれて感動がこみ上げてくる。この映画好きだわ。疲れた心に染みる良作です
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