April01

ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼットのApril01のレビュー・感想・評価

4.5
入口は少年漫画でありながら、若者と大人の人生観をこうも上手く対照的に描いて交差させるとは。泣いた!切ない!

ここまでずっと追ってきて、こういうの描ける深みが原作者にあるからこその、下から目線(若者目線)の面白い漫画なんだなという驚きを、本作を観て初めて気づく喜び。

「海導」を歌う場面なんて、歌単体だったらストレートすぎて気恥ずかしいんだけれど、少年漫画と、この昭和な人情ソングとの相性が良いって不思議じゃない?
そう言えば、ルフィも時々、昭和チックな演歌みたいなの歌うよな~と場違い感を覚えたのはこれか!その場違い感が、本作ではハマっているので。だからこそ、これまでのワンピースと違う次元になってるとも言える。

とりあえずオープニングのカッコ良さときたら!
昭和のルパンのテイストを、今風にした感じ。

海軍横目に「負けてんの?」って自転車ギコギコのクザンがツボる😆

男たちの温泉シーンたまりません!
なんという眼福✨

ゾロとサンジが、よりカッコよくなってて、ずるいよー。
メガネにスーツののゾロ素敵。

海賊の存在意義と正当性を問う新たな切り口、それがZ。

ルフィが正義だとは思わない。
そして正義ではない。
そのことをハッキリと認めてるよね、本作は。

その点をこれまで案外スルーしてきたんだけど、わざとだったんだな、という気づきもある。
若者は、いちいち正義がどーのこーのと御託並べて行動すんな!っていうのが、ワンピースの根底にあるということもわかる。

Zの筋を通した生き方は、クザンの言う通りカッコいい。

そのカッコ良さの前に、ルフィ達は子供っぽく見えるように描いているよね。

若者よ!やりたいようにやれ!というメッセージ。

Zも少年時代の純粋な「俺はZだ!」と叫んでヒーローごっこやってた時の自分とシンクロして最期に向かったんだと思う。

その一連の男の生き様を、酒のボトルという小物使って見届けるクザンという存在の使い方が上手い。

Zの子分アインとゾロの対決で、「先生、先生ってなんなんだ」とか、「迷いがある」とゾロが切り捨てるところは、若者さ~先生に盲目についていくだけじゃなく、自分の心のままに生きてみろよな!っていう応援にもとれる。

Zとかクザンは大人の男として、過去と現在を語っていて、振り返る大人の男と、ルフィやZの子分たち、今を生きる若者との対比が上手く効いている。
April01

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