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夜叉のakrutmのレビュー・感想・評価

夜叉(1985年製作の映画)
4.2
大阪・ミナミでは名の知れた元ヤクザであることを隠して、妻子とともに漁師として暮らしている修治。そこに、ミナミから流れてきて小料理屋を開いた蛍子。蛍子や彼女のヒモである矢島の起こす騒動を通じて、修治はミナミでのヤクザ時代の記憶とともに、好きだったクラブ歌手の女と蛍子と重ね合わせていく。

修二を演じた高倉健の良さは言うまでもないけれど、この映画で最も輝いているのは蛍子を演じた田中裕子であることは間違いない。高倉健がかすんでしまうほどの存在感である。とにかく、艶っぽさと少女のような可愛らしさが同居する彼女の表情には、何とも言えないほどぞくぞくしてしまう。当時はサントリーのCMも大人気だったような気がする。こんな演技ができる女優は今はいないなあ。また、矢島を演じたビートたけしの暴れっぷりも見事。ちょうどこの頃のビートたけしは売れっ子中の売れっ子で、レギュラー番組を数多く抱えていながら、役者としての才能も注目され始めていた頃で、フライデー襲撃事件の1年前。シャブ中毒で死んでしまう修二の妹役を檀ふみが演じているのも、なんかすごい。
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