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海辺のポーリーヌのkabcatのレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
3.8
『緑の光線』と並んでフランス人にとっていかにバカンスが重要であるかを語る映画の一つ。登場人物それぞれがそれぞれの理想とする恋愛を模索するもののみんなボタンのかけ違いのようにうまくいかない皮肉な内容だが、海辺の風景や別荘の開放的なインテリア、ビキニやサンドレスといったファッションなどリラックスした非日常的な記号をからめることで、不思議に楽観的でのんきな気分で観られる。20代の頃に観たときはロメール作品の登場人物たちはみんなカッコよくて魅力的に思えたものだが、今こうやって見直すと、よく考えるとダメな人ばかりでおかしい。

ポーリーヌ役のアマンダ・ラングレの背伸びしないナチュラルな演技が初々しい。マリオン役のアリエル・ドンバールはあまり好きじゃないタイプの女優だが、ここでは猫のようなルックスと豊満なボディがポーリーヌと対照的でよいキャスティングだと思う。またロメール映画ではイケメン枠wに入るパスカル・グレゴリーより、今回はちょいワルオヤジのアンリを演じたフェオドール・アトキンのほうがだんぜん魅力的だ。そして若くして世を去ったシモン・ド・ラ・ブロスが出ているのが切ない。
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