みそらしど

容疑者Xの献身のみそらしどのレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
3.3
つい先日テレビ放送されていたけれどそれら見逃した私。そういえばちゃんと見てないかも、と思い立って鑑賞。

Twitterでみかけた「無償の愛に泣いた」というような感想をみかけて少し期待していたけど、そこまでの大きな感情は生まれなかった。

でも、良かったところももちろんある。
まず、俳優陣の演技力。特に堤さん演じる石神は、独特な雰囲気で作品全体を引っ張っていたように思う。
静かだけれど好きなもの(数学)や人に対しては鮮やかな感情を内に秘めている様子が、見ている人を引き込むと思う。
とても頭が良く、物事を上手く進めるために淡々とすべきことを成してきた彼が、感情を堪えきれなくなるラストシーンは印象に残った。

それから、シンプルに、完璧に花岡親子を守り切るために石神が考えたシナリオには感心させられた。
「そんなやり方があるのか…」と思ったけれど、重い自己犠牲的な愛に対してそこまで共感はできなかった。
でも、それは私が死のうと思った状態から「夢のような人」に救われた経験がないから仕方ないのかもしれない。
「夢のような人」のためなら、彼は自分の全てを捧げられたのだろうな。
いや、もしかしたら「捧げる」という意識があったかすらわからない。彼にとって自分の人生など、花岡親子に笑顔で生きていってもらうためならば、単なる必要な要素の一つに過ぎなかったのかもしれない。
それくらい大きな存在が、石神にとっての花岡靖子なのかもしれない。

湯川先生のやりきれなさは少し想像できる気がした。
浅くはない繋がりがあると思っている相手でも、自分の手の届かないところで、強い決断をして遠くへ行ってしまうときの、寂しさ?悔しさ?もどかしさ?みたいなもの。
結局、人は自分で決めて進んでいってしまうし、
逆に言えば、自分で決めて進むしかないんだよなぁと改めて考えた。
誰かの気持ちを変えられるとか、引き留めておけるとか、そういう驕りを持っても苦しいし、
誰かが自分を変えてくれる、引き留めてくれると、縋っても辛い。
自戒をこめてココに書いておこう。

最後に、主題歌が良かった。
流れるタイミングといい、歌詞といい、映画との相乗効果◎。
鑑賞後既に1週間以上経っているけれど、毎日のように「最愛」を聴く。

ガリレオシリーズ最新作の「沈黙のパレード」もつい先日観てきたので忘れないうちに記録したい📝