カフカのオテサーネク

容疑者Xの献身のカフカのオテサーネクのレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
4.2
ねちっこいナルシスト喋りが癖になる福山雅治のテレビドラマ「ガリレオ」の劇場版。

天才物理学者の主人公が愚鈍な警察諸君に捜査協力して物理学の見地から謎を解く人気シリーズの映画版。

今回の敵は主人公と同等の頭脳を持つ、数学の天才と呼ばれたうだつの上がらない変人「石神」。

この映画はドラマ版のメインパーティーよりこの「数学の天才」なる変人「石神」と、その隣に住む妙に幸薄そうで色っぽい(松雪泰子の訳あり感がエロい)母子とのぎこちない交流がメイン。

肝心の事件もこの母子が元旦那のDV男を殺したことから始まる。

色っぽい松雪泰子をかばって石神がアリバイトリックなどを仕掛け、計画通り見事に愚鈍な警察諸君の捜査を撹乱するのだが最後に計算が狂って…

『やっぱり人間の感情は科学や数学では解き明かせない』がテーマなんだと思いますが、特に見事なのが、"四色問題"の扱い方。

"四色問題"とは「隣り合う図形を別々の色で塗るには4色あれば良い」という数学の定理で、これに石神は数学的な美しさを感じており「自分とその隣にすむ母子は同じ色に染まってはいけない」との美学から"献身"をしたのに…という悲恋や夢想家の生きづらさが描かれているのが素晴らしい。

残念なのは石神のビジュアルがそこまで醜男ではなかった点くらいかな。

ドラマ「ガリレオ」のファンや福山雅治のねちっこいナルシスト喋りで耳を犯されたい人はオススメです。